NO.46 / 1999年7月
- 7月12日に起きた敦賀原発2号機の事故では、配管の亀裂から放射能に
汚染された冷却水が14時間以上も漏れ続け、その量は51トンに達した。
大量の冷却水喪失は炉心熔解につながる最も危険な事態である。
しかし、日本原子力発電(原電)の対応には危機感が全く感じられなかった。
原子炉停止は、事故発生後、40分以上経ってからであったし、冷却水漏れが
続いている最中に、市民団体の見学会が行われていたという。
今回の事故では、監視カメラが漏えい箇所を捉えきれなかったため、炉が冷え
るのを待って、作業員が格納容器内に入り、枝管の亀裂を見つけたが、その
時すでに事故発生から13時間が経過しており、汚染は格納容器全体に及んだ
。
気体放射性物質量は、一時、通常の23倍にも達していた。原電は外部への漏
れはないといっているが、漏れた可能性があると指摘する専門家もいる。
3年前にも同じ原発で、約1トンの冷却水漏れが起きており、少量の漏れは
他の原発でも度々起きているが、ほとんどが今回同様細い枝管の破損が原因で
ある。しかし、定期検査で枝管を直接点検するのは10年に1度、しかも昨年
から経済性重視のため、定期検査にかける日数が約半分に短縮されてしまった
。
これでは、今後老朽化が進む原発の安全性など守れるはずがない。
一連の報道の中で衝撃的だったのは、防護服に身を固め最も汚染のひどい格納
容器の地下2階で、漏れた冷却水を雑巾で拭き取る作業員の姿だった。その映
像は14日に撮影されたものである。
このとき、汚染の最もひどい所は、1Cu当たり1,000ベクレル以上と
発表されていた。ところが、翌日15日に最高値は4万6000ベクレルと
訂正された。あまりにもひどい話である。被爆した作業員の健康が気がかりで
ある。
悲惨な原発内労働の実態を再認識させられた事故でもあった。